2016年のGoogleウェブマスター向け公式ブログを振り返る
タイトルのとおり、今年2016年にGoogleのウェブマスター向け公式ブログで投稿された記事を振り返っていきます。イベントの告知等の記事については飛ばしてあります。ウェブ制作者向けの内容となっているので注意してください。
2016年上半期(1月から6月まで)
2016年1月8日 数億のモバイル ユーザーを保護するための取り組み
フィッシング等のソーシャルエンジニアリング(ユーザーを欺いて危険な操作を行わせる攻撃)に対して、Android版のChromeでセーフブラウジングの機能が強化されたことが発表されました。
2016年1月29日 Accelerated Mobile Pages プロジェクトについて — 導入ガイド日本語版を本日公開しました
2015年10月にGoogleが公表したオープンソースプロジェクトのAccelerated Mobile Pages (AMP)ですが、2016年はAMPが大きくフィーチャーされました。今では通常の検索結果にAMPページが表示されるようになりました。ここでは日本語版の導入ガイドが公開されました。
2016年2月5日 リンク プログラムのネットワークに対策を行いました
Googleではウェブマスター向けガイドラインを公開しています。このガイドラインでは、リンクの売買や相互リンクのみを目的としたパートナーページの作成を、リンクプログラムと称してガイドライン違反としています。2月5日の発表では、リンクプログラムに参加してリンクを売買していた日本語のサイトネットワークに対して対策が施されたことが公表されました。
2016年3月16日 企業から無料で提供された商品をブログでレビューする際のベスト プラクティス
企業が自社の製品を無料で送付してブログで紹介してもらうようなオンラインマーケティングにおいて、ブロガーが気をつけるべき項目がまとめられています。
2016年3月17日 ウェブをさらにモバイル フレンドリーにするための取り組み
Googleは2015年から、サイトがモバイルフレンドリーであるかをモバイル検索でのランキング要素の一つとして採用していましたが、3月の発表でこのランキング要素の効果を高めるようにアルゴリズムをアップデートしていく ことが発表されました。まだサイトがモバイルフレンドリーでないウェブサイトオーナーは早急に対策することが好ましいです。
2016年3月18日 Googlebot のスマートフォン用ユーザー エージェントの更新について
Googlebotがサイトをクロールする際の、スマートフォンユーザー用のユーザーエージェントが更新されることが発表されました。レンダラーとしてはSafariよりもChromeにより近づけられることになりました。
2016年4月12日 不正なダウンロード ボタンを撲滅するために
Googleにソーシャルエンジニアリングだと見なされるような、不正なダウンロードボタン等の具体例が紹介されています。ユーザーとしては、このようなダウンロードボタンが多数見られるようなサイトには十分に注意してブラウジングすることが必要だと言えます。
2016年5月11日 2015 年に Google が実施したウェブスパムへの対策
2015年に見られたウェブスパムのトレンドと対策について紹介されています。
2016年5月19日 新しいモバイル フレンドリー テスト ツール
モバイルフレンドリーテストツールがリリースされたことが発表されました。テストツールはこちらです。現在ではthink with Googleで、ページがモバイルフレンドリーかどうかやページの読み込み速度を100点満点で知ることができるようになったので、あまり使わないかもしれません。
2016年5月31日 Search Console でプロパティ セットを使って複数のサイトをまとめて集計する
Search Consoleで新たに導入された「プロパティセット」について簡単に紹介されています。プロパティセットにより、複数のプロパティをグループ化してクリック数や表示回数をまとめて一つのレポートとして集計できるようになっています。
2016年下半期(7月から12月まで)
2016年7月7日 Google アナリティクスで受け取れるセキュリティ通知が拡充されました
スパム行為を目的としたハッキングの被害を受けてウェブマスター向けの品質ガイドラインに違反した状態になっているサイトに対して、Googleアナリティクスの管理画面で通知される旨が発表されました。
全検索結果に対してAMPのサポートを拡大した開発者プレビューが公開されました。8月時点ではトップニュースがAMPに対応していましたが、この発表によって、ここで全検索結果に対してもAMPページが表示されることになることがおおやけなりました。
2016年8月24日 モバイル ユーザーが簡単にコンテンツにアクセスできるようにするために
Googleは2014年にユーザーがスマホ対応ページを見つけやすくするために、「スマホ対応」というラベルを検索結果に表示するようにしていましたが、そのラベルの表示を停止することが発表されました。これはモバイル検索結果に表示される85%がスマホ対応されていることを受けた発表です。
また2017年1月10日から、ユーザーエクスペリエンスを下げるようなインタースティシャルを表示しているサイトに対して検索結果の順位を下げる 可能性があることを公表しました。これまではモバイルアプリのインストールを薦めるインタースティシャルをチェックするランキング要素が導入されていましたが、より一般的なインタースティシャルに対しても適用されることになります。
2016年9月21日 Accelerated Mobile Pages の問題を効率的にチェックするには
AMPページを実装する際に有用な検証ツールが紹介されています。一つ目はURLに#development=1
を付け加えるというもの、二つ目はブラウザの拡張機能 AMP Validator、三つ目はAMP Web Validatorです。AMPページを実装するデベロッパーにとってはどれも必須のツールです。
2016年9月23日 Penguin が Google のコア アルゴリズムの一部になりました
Googleがランキング要素として採用している「ペンギン(Penguin)」と呼ばれるシグナルの更新が、今後はリアルタイムで行われることが発表されました。ペンギンはスパム行為やウェブマスター向けガイドラインに違反しているようなWebページの評価を下げるようなランキングシグナルです。
これまでは「ペンギンアップデート」と呼ばれる更新が定期的に行われてきましたが、この発表以降、ページを再クロールしてインデックスに再登録されるとペンギンシグナルが直ちに検索結果に反映されることになりました。
2016年9月27日 顧客のサイトを AMP 化するための 8 つのヒント
AMPページの導入ガイド的なものが紹介されました。Googleトップニュースに表示させるためには構造化データを使ってArticleマークアップする必要があること、AMP化されているかどうかは検索結果のランキングに影響がないこと等が言及されています。
2016年9月30日 ウェブマスター フォーラムに寄せられた AMP に関する質問をご紹介します!
AMPに関するQ&Aがまとめられています。AMPページに加えた変更がSearch Consoleに反映されるまで一週間ほどかかることがあることが言及されています。
2016年11月5日 モバイル ファースト インデックスに向けて
ページのランキング決定や構造化データの理解、検索結果のスニペット表示等々に対してモバイル版のコンテンツを採用していくことが発表されました。2016年にGoogleから発表されたものの中で最もインパクトがあったと思います。『今後数カ月にわたって小規模の実験を入念に行い』とあるように、本格的に目に見えてくるのは来年以降になります。主要なコンテンツが欠けているような 中途半端なモバイルサイトをもっている場合は早急に対策する必要があります。モバイルファーストインデックスに関する記事を別に書いてあるのでそちらもご参考ください。
2016年11月29日 コンテンツ キーワードが廃止されます
Search Consoleのメニューから「コンテンツキーワード」が廃止されたことが発表されました。どのようなキーワードで自分のサイトが検索結果に表示されたかは「検索アナリティクス」で確認できるため、そちらをメインで使っている人には特に影響はないと思います。
2016年12月1日 フィーチャーフォン用のクロールとインデックスが変わります
いわゆるガラケー向けのサイトがそもそもなくなってきている状況を受け、ガラケー用のGooglebotが廃止されることが発表されました。Search ConsoleでのFetch as Googleからもガラケー用のオプションが廃止されました。
2016年12月9日 インデックス可能なプログレッシブ ウェブアプリの構築方法
プログレッシブウェブアプリを制作する際の注意点等がまとめられています。フラグメントではなくクリーンURLを使用する、History APIでページの再読み込みを回避するなど、ウェブアプリを制作する際のベストプラクティスも述べられています。
2017年に向けて
2016年はAMPの検索結果の一般公開、モバイルフレンドリーのより一層の重視、モバイルファーストインデックスと、モバイルに関する発表がたくさんありました。2017年はモバイルファーストインデックスが本格的に導入される年にもなります。その意味で モバイルフレンドリーなサイトの構築、モバイル向けコンテンツの充実 が2017年の最重要課題になりそうです。
またAMPではamp-bind
のようなウェブアプリ向けの機能の開発が進められています。これまでは静的サイト向けとされてきたAMPですが、2017年はより動的なサイトに対してもAMPが使えるように整備されていくことが予想されます。より高速なモバイル体験を提供したいと願うウェブアプリの開発者は、AMPの動向にも注視していく必要がありそうです。